AOLのダイヤルアップ接続終了に昔を懐かしむ

さらば、あの騒々しい「インターネットの夜明け」
さあ、みんなで目を閉じて思い出してみよう。20世紀末、あの壮大な儀式のことを。電話回線が「ピーヒョロヒョロヒョロ…ガガー!キーー!ギーーー!!!」と謎の動物の求愛行動のような叫びをあげ、そして静寂が訪れる。
その一瞬の静寂の後に聞こえてくるのは、「You've got mail!」という、まるで宇宙から届いたかのような感動的な声。
そう、あれは紛れもなくAOLのダイヤルアップ接続でした。
インターネットを始めた当初、プロバイダの意味もわからず、知らずで、なんとなくAOLとMSNとBiglobeと契約。
映画「ブレードランナー」の「二つで十分ですよ」のシーンを思い浮かべながら、ひとつで十分だったと苦笑いしてたのが懐かしい。
そしてこの度、そのAOLのダイヤルアップ接続サービスが終了するとのこと。
ついに、あの騒々しい夜明けが、静かに幕を閉じるわけです。
まだやっていたことにも驚きましたが、アメリカでは現在でも17万人以上もダイヤルアップ接続しているユーザーがいることにもっと驚いた。
ネット回線と電話回線の仁義なき戦い
光回線やWi-Fiで秒速ダウンロードが当たり前になった今、あの頃の不便さはもはや伝説です。なにせ、あの時代は「インターネットに接続する」というだけで、電話回線という名の“人質”を取っていたのですから。
「今ネット繋いでるから、電話かけるなよ!お母さん!」
「もしもし、今インターネット使ってるから、後でかけ直すね!」
電話がかかってくるたびに、突然「ピー!ヒョロロロ…」と絶叫して接続が切れるあの悲劇。
オンラインゲームでボスを倒す直前、チャットでいい感じになった相手との会話の最中…
あぁ、無情。
そして、ダウンロードに何時間もかかっていたあの頃、たった1枚のJPEG画像をダウンロードするのに、PCをつけっぱなしにして寝ていた人も少なくないでしょう。夜中にトイレに起きたついでにPCを覗き込み、「うおっ、まだ5%かよ!」と絶望した記憶は、我々ダイヤルアップ世代の共通の思い出です。
画像でこれだからね。映画のトレーラーとか動画はもう地獄…
ただのトレーラーだよ、2分前後のやつ。
人生の時間使い切るんじゃないかとさえ思ったぜ!
「マトリックス」や「ファイトクラブ」とか、ホント苦労して観たなあ。笑「スターウォーズ エピソード1/ファントムメナス」のトレーラーをインターネットで観たときはハッキリと新時代を感じたな。
この頃、ダイヤルアップ接続から速攻でISDN、そしてADSLへと回線を変えていったんだ。
ダイヤルアップ接続よ、安らかに眠れ
ダイヤルアップ接続の終了は、まさに一つの時代の終わりです。あのノイズは、私たちをオンラインの世界へと誘う魔法の呪文であり、電話回線を占拠する迷惑な騒音でもありました。
ダイヤルアップ接続、本当にありがとう。そして、お疲れ様。今頃、天国でブロードバンドの天使たちに「ピーヒョロヒョロロ…」と騒音を撒き散らしていることでしょう。
さようなら、あのノイズと共に。私たちは、もっと速くて、もっと静かなインターネットの世界へ旅立ちます。
もう誰も、電話回線をめぐって家族と喧嘩することはないのですから。
